パントテン酸とは
パントテン酸は、その語源(ギリシャ語でPantothenはEvery sideの意味)の示すとおり動植物界に広く分布するビタミンです。パントテン酸が比較的多く含まれる食品は、ローヤルゼリー、鳥や牛、豚の肝臓や肉、納豆、ピーナッツ、キノコ類等です。パントテン酸はB群ビタミンに分類され、ビタミンB5とも呼ばれます。パントテン酸はヒトにおいても、全身の組織中に遊離型又は活性型として存在します。パントテン酸の体内での活性型は、主に補酵素A(コエンザイムA:CoA)と呼ばれる成分です。
食品中のパントテン酸含有量
食品の中でパントテン酸が一番多く含まれるのは、ローヤルゼリーです。ご存知のとおりローヤルゼリーは女王蜂の唯一の食料であり多くの卵を産む為には新陳代謝(エネルギー代謝)に必須のパントテン酸が多く必要となるからです。
動物の中では、牛や豚に比べて鶏に多く含まれています。鳥類は空を飛ぶので、エネルギー効率の良い脂肪を多く蓄え、燃焼しています。脂肪燃焼には炭水化物やタンパク質と比べて多くのパントテン酸が必要なので、鶏にもパントテン酸が多く含まれているのです。
また、大豆にも比較的多くのパントテン酸が含まれていますが、納豆では大豆の2倍~3倍と多くなります。これは納豆菌が生きて行く為にパントテン酸を必要としているからで、しいたけやえのきたけにも比較的多いことから菌の成長にもパントテン酸が必要であることが分ります。
(100g当たりmg数)
成 分 | 含 有 量 |
肝臓(牛) | 6.40 |
肝臓(豚) | 7.19 |
肝臓(鶏) | 10.10 |
心臓(豚) | 2.70 |
脂肪分の少ない食肉(牛) | 0.65-1.54 |
脂肪分の少ない食肉(豚) | 0.88-1.34 |
脂肪分の少ない食肉(鶏) | 1.13-3.08 |
鱈(タラ) | 0.44 |
鯖(サバ) | 0.76 |
全卵(生) | 1.45 |
プロセスチーズ | 0.14 |
全乳 | 0.55 |
玄米 | 1.36 |
精白米 | 0.66 |
精白米ごはん | 0.25 |
成 分 | 含 有 量 |
小麦粉 | 0.47-0.93 |
小麦パン | 0.32-0.63 |
大豆 | 1.49-1.68 |
納豆 | 2.90-4.28 |
ピーナッツ | 1.66 |
馬鈴薯 | 0.47 |
トマト | 0.17 |
キュウリ(生) | 0.33 |
大根(生) | 0.12 |
キャベツ類 | 0.11-0.35 |
しいたけ(生) | 1.08 |
えのきたけ(生) | 1.40 |
蜜柑(ミカン) | 0.15-0.23 |
林檎(リンゴ) | 0.09 |
ローヤルゼリー | 22.00 |
出典:五訂食品成分表(第一出版)、他
パントテン酸の体内動態
パントテン酸は体内において、活性型として、エネルギー代謝や各種ホルモンの合成に必要なコエンザイムA(CoA)や脂肪の合成に必要なアシルキャリアプロテン(ACP)になり、各種生理作用に関与します。